「ただいま」

半地下になっているメイプルホールは、エントランスを入ると、

ホールへ入る重い扉があり、その扉を開けるとすぐに、

下へ降りる何段かの短めの階段があります。


ホール全体を見渡せる、その短い階段の上に立ち、

いつも窓寄りのホール中央に設置をお願いしてあり、

すでに宮本さんによって準備されて、

ふたを開けて、鍵盤も弦も見せる形で待っている、ここのグランドピアノが、

この日のこの時間の相手である、わたしのことを待っていてくれているのだな、

と見て取ります。


目に入ったその光景に、ちょっと気持ちが引き締まるような心地になります。

そして、短い階段を下りてホールに入ります。



このグランドピアノ、

なんだかわたしには、黒いラブラドールレトリーバーを思い起こさせるのです。

賢くて、優しい、壮年期の雌の黒のラブラドールレトリーバー。

いつもわたしに根気良く付き合ってくれる。


若いラブラドールレトリーバーは、賢い犬種ゆえに、

遊び好きでいたずらっ子。そういうイメージ。

そういうところを通って来た、大人のラブは、

だから許容応力があり、包容力もある。


そういう感じがするグランドピアノなんです。


わたしは密かに、このグランドピアノさんに名前をつけました。




前回のピアノの弾き語りの動画に、

色々反省点があり、

今回は、それを踏まえて、

わたしのほうでも録画準備をし、

ホールのPAについても、希望を伝えてみました。


前回の曲もそうだったのですが、今回の曲も、とてもソフトに歌うので、

特に今回は、ファルセットも多いということもあって、

歌声が、グランドピアノの音量にどうしても負けてしまう・・・。

そこが案件でした。


そもそもわたしはそんなに声量のあるタイプではなく、

張り上げる歌い方をする歌い手ではないので。

そういう音楽は好まないですし。


宮本さんにうまくPAのコントロールをしてもらって、

今回はうまく録れたと思います。



今回、録画したのは、

手嶌葵さんが歌う、「ただいま」


聴いてすぐに好きになり、

ピアノ弾き語りでやったら素敵だろうな、と思い、

しかし、楽譜を手に入れてやってみたところ、

わたしにはけっこう難しい。。

その上、いくつもの構成から成り立っている欲張りな曲。

すごく良い曲だけれど。


どうしても自分のものにしたくて、

根気よく、時間を掛けて取り組みました。



録画も、思っていた通り、時間が掛かった。。。


がんばりました。


でも、自分的に、納得の出来です。



コロナ禍になり、ここメイプルホールとの不思議な縁があり、

我が家のピアノも新しくなったり・・・

すごくすごく、背中を押されてる気がしてました。


ボサノヴァ弾き語りももっともっとやらなくちゃなんだけど・・・。

とまどいながらも、ピアノに向かう時間を持つようになっていきました。


淡々と、ただ、歩みを進めた。

そんな1年の集大成といっていい録画になりました。


年内にup出来たのは、わたしとしては快挙です。



ギターでボサノヴァ弾き語りと、ピアノの弾き語り。

弾き語りって、自給自足出来て、いいな。

演奏の楽しみ方は、ひとそれぞれで良いのだと。


そして、2足の草鞋。

それがわたしなのかも。。




Rei Tateishi info.

ボサノヴァ弾き語りすと 立石レイ のサイトです。